カニ歩き映画ブログ

谷越カニが見た映画について書いてます

拳闘試合の日(Day Of The Fight - 1951)キューブリックのデビュー作は10分ちょっとのドキュメンタリー

偉大な映画監督であるキューブリックの監督デビュー作はドキュメンタリー映画だった。 当時のキューブリックは23歳。写真誌「ルック」のカメラマンをしており、題材となったボクサーとは雑誌の取材で出会った。スタッフの多くを知り合いで固め、予算の不足分…

『フレンチ・コネクション1・2』最後の最後で期待にこたえるというやり方

同年公開の『ダーティーハリー』(1971)の影に隠れ、比較的語られる機械が少ないように感じる『フレンチ・コネクション』。ニューヨーク市警察本部薬物対策課の凄腕刑事ドイルと相棒ルソー(ロイ・シャイダー)がフランスの麻薬王シャルニエを追いかけるバデ…

『DENKI GROOVE THE MOVIE?』2時間じゃ足りねえんだよ!

立川シネマシティで10日まで上映されていた『DENKI GROOVE THE MOVIE? 石野卓球とピエール瀧』を見てきました。 あるミュージシャンを取り扱ったドキュメンタリー映画にはいろんなスタイルがあります。松江哲明監督の『ライブテープ』はシンガーソングライタ…

D・W・グリフィス『黄金のルイ The Golden Louis』1909年

リリアン・ギッシュとの黄金コンビが生み出した悲劇の数々の原型とも言えるような映画。 冬の街角。乞食の少女は寒さと飢えでついに力尽き、死を目前にしていた。そこへ通りかかった男が彼女を憐れみ、彼女の靴に金貨を残していった。 相変わらず力なく横た…

D・W・グリフィス『淋しい別荘 The Lonely Villa』1909年

グリフィスが新たな映画表現を模索した結果の産物。グリフィスが映画界に残した最大の功績であるクロスカッティングが登場する。 物語は主人の留守中に屋敷に強盗が入るという単純なもの。残された母子と主人の電話のやりとりと3人組の強盗の姿を交互に映す…

D・W・グリフィス 『カーテンポール The Curtain Pole』1909年

『迷惑帽子』に引き続いてのコメディ映画。正直言ってチャップリンの失敗作程度の魅力しかない。 あらすじはこうだ。屋敷のカーテンポールが真っ二つに割れる。男が街へカーテンポールを買いに行き、馬車に乗って帰る。立てて持てばなんでもないところを横に…

D・W・グリフィス『迷惑帽子 Those Awful Hats』1909年

1919年、グリフィスはチャップリンやダグラス・フェアバンクスらとユナイテッド・アーティスツ社を設立したが、その10年前、チャップリンが登場するよりも前にチャップリンの出来損ないみたいなコメディ映画を作っていた。 映画館で映画を観る紳士たち。上映…

D・W・グリフィス『ドリーの冒険 The Adventures of Dollie』1908年

アメリカ映画の父D・W・グリフィスのデビュー作にして初期映画の傑作。この映画は初期映画の範疇を超えた高レベルな映画だ。簡素な物語に設定と演出の妙でハラハラドキドキのサスペンスが成立している。デビュー作には作家の作家性がすべて詰まっていると言う…

D・W・グリフィス『質屋の娘の恋 Romance of a Jewess』1908年

タイトルは『ユダヤ娘の恋』とも。現在は『質屋の娘の恋』と呼ぶらしい。ドキュメンタリー映画の元祖『極北の怪異』が『極北のナヌーク』に変えられたのと同じ経緯だろう。Jewessは少々軽蔑的に用いられる言葉らしいから。 この映画はグリフィスの作家性が出…

D・W・グリフィス『じゃじゃ馬馴らし The Taming of the Shrew』1908年

著作権が切れた映画はYoutubeで観ることができるからありがたい。特に初期映画は上映時間が長くても20分程度だから中途半端に時間が空いてしまった時に観ることができる。 で、今日観たのはアメリカ映画の父D・W・グリフィスの『じゃじゃ馬ならし』。1908年公…

Apple Musicで落語ざんまい

3日前に立川談春著『赤めだか』を読んでから落語ブームが来ている。年末のドラマ見ればよかった。 Youtubeで落語の動画を探すのもずいぶん久しぶりだ。立川談志の青年期の声はこんなだったのかと驚いたり、柳家喬太郎の死神は彼のキャラクターからは想像でき…

ミュージシャンのアルバムを映画化するということ

先日、Daft Punkと松本零士がコラボした『インターステラ5555』という映画を観た。Daft Punkの大ヒットアルバム『Discovery』の楽曲を曲順通りに使い、松本零士印のSFを語ろうという映画。 ライブシーンの躍動感のなさは感動を覚えるほどだけど、楽曲の良さ…

NETFILXで北朝鮮を取材したドキュメンタリー映画を見て混乱した

強豪相手のHuluとくらべてドキュメンタリー映画が豊富なNETFLIX。昨日はスペイン人映画監督による北朝鮮のドキュメンタリー映画「The Propaganda Game」を見ました。 www.youtube.com 監督はスペイン人のアルバロ・ロンゴリア。北朝鮮政府唯一の外国人職員で…

ウィル・スミスが「ら」扱いされてて悲しい

今年度のラジー賞についての記事を読んでいて、悲しくなったことがあります。 eiga.com また、ラジー賞の常連ながら前年に素晴らしい仕事をした映画人を表彰する「名誉挽回賞(Razzie Redeemer Award)」には、「ヴィジット」で復活を果たしたM・ナイト・シャ…

タバコ映画を18禁にするだなんてとんでもない

喫煙場面ある映画は成人指定を WHOが勧告 WHO=世界保健機関は、タバコを吸うシーンがある映画などについて「世界の若者たちを喫煙に誘導している」として、各国に対して成人向けに指定するよう勧告しました。 WHOは1日、タバコに関する報告書を発…

『この空の花』…お日様の匂いがするね

戦時中の東京・杉並を舞台にしているにもかかわらず戦争の気配が薄い不思議な世界観。ここに文句をつけたくなる人はいるだろうが、監督・脚本の荒井晴彦は主人公の里子(二階堂ふみ)と市毛(長谷川博己)のやりとりで反戦を表現したかったのだと思う。そこ…

『不屈の男 アンブロークン』はどういう映画なのかがわかる短文+追記

食人描写はない 反日ポスターは公式ではない ルイス・ザンペリーニをキリストに見立てた宗教映画 日本人の品位を貶める映画ではない。ドイツ国民は『イングロリアス・バスターズ』のランダ大佐に過剰反応したか? この映画を見てわかったことは、アンジーは…

放置

ずいぶんと長い間放置してしまったので、そろそろエントリー書きます。記事か。どっちでもいい。

『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』ドラマパートについて

炎上している『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』をIMAXで見てきました。とても良かった。 私は、一方的な批判に憤っています。確かにドラマパートはダメですよ。でも、それだけでダメだ、クソだ、これだから邦画は、ってのはおかしいでしょ。 ドラマパートは本…