カニ歩き映画ブログ

谷越カニが見た映画について書いてます

初期映画

D・W・グリフィス『黄金のルイ The Golden Louis』1909年

リリアン・ギッシュとの黄金コンビが生み出した悲劇の数々の原型とも言えるような映画。 冬の街角。乞食の少女は寒さと飢えでついに力尽き、死を目前にしていた。そこへ通りかかった男が彼女を憐れみ、彼女の靴に金貨を残していった。 相変わらず力なく横た…

D・W・グリフィス『淋しい別荘 The Lonely Villa』1909年

グリフィスが新たな映画表現を模索した結果の産物。グリフィスが映画界に残した最大の功績であるクロスカッティングが登場する。 物語は主人の留守中に屋敷に強盗が入るという単純なもの。残された母子と主人の電話のやりとりと3人組の強盗の姿を交互に映す…

D・W・グリフィス 『カーテンポール The Curtain Pole』1909年

『迷惑帽子』に引き続いてのコメディ映画。正直言ってチャップリンの失敗作程度の魅力しかない。 あらすじはこうだ。屋敷のカーテンポールが真っ二つに割れる。男が街へカーテンポールを買いに行き、馬車に乗って帰る。立てて持てばなんでもないところを横に…

D・W・グリフィス『迷惑帽子 Those Awful Hats』1909年

1919年、グリフィスはチャップリンやダグラス・フェアバンクスらとユナイテッド・アーティスツ社を設立したが、その10年前、チャップリンが登場するよりも前にチャップリンの出来損ないみたいなコメディ映画を作っていた。 映画館で映画を観る紳士たち。上映…

D・W・グリフィス『ドリーの冒険 The Adventures of Dollie』1908年

アメリカ映画の父D・W・グリフィスのデビュー作にして初期映画の傑作。この映画は初期映画の範疇を超えた高レベルな映画だ。簡素な物語に設定と演出の妙でハラハラドキドキのサスペンスが成立している。デビュー作には作家の作家性がすべて詰まっていると言う…

D・W・グリフィス『質屋の娘の恋 Romance of a Jewess』1908年

タイトルは『ユダヤ娘の恋』とも。現在は『質屋の娘の恋』と呼ぶらしい。ドキュメンタリー映画の元祖『極北の怪異』が『極北のナヌーク』に変えられたのと同じ経緯だろう。Jewessは少々軽蔑的に用いられる言葉らしいから。 この映画はグリフィスの作家性が出…

D・W・グリフィス『じゃじゃ馬馴らし The Taming of the Shrew』1908年

著作権が切れた映画はYoutubeで観ることができるからありがたい。特に初期映画は上映時間が長くても20分程度だから中途半端に時間が空いてしまった時に観ることができる。 で、今日観たのはアメリカ映画の父D・W・グリフィスの『じゃじゃ馬ならし』。1908年公…