カニ歩き映画ブログ

谷越カニが見た映画について書いてます

NETFILXで北朝鮮を取材したドキュメンタリー映画を見て混乱した

強豪相手のHuluとくらべてドキュメンタリー映画が豊富なNETFLIX。昨日はスペイン人映画監督による北朝鮮のドキュメンタリー映画「The Propaganda Game」を見ました。

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監督はスペイン人のアルバロ・ロンゴリア。北朝鮮政府唯一の外国人職員であるアレハンドロ(こちらもスペイン人)に平壌を案内され、報道では見えてこない北朝鮮の実情を撮影していきます。

国際情勢には疎いので触れませんが、平壌はよく近代化されたハリボテだということはわかりました。北朝鮮の歴史を学べる博物館には一般人の姿がなく、信仰の自由を象徴するとされるキリスト教の教会の違和感に監督はこうコメントしています。

「合唱が揃いすぎている」

外国人向けの取材用施設としての教会なのでしょう。pixivで投稿者が「落書き」と主張する絵がやたら気合が入ってたりするのと同じことなのではないかと思います。

北朝鮮の人民は誰もが「北朝鮮は素晴らしい。私は幸せだ」と言っています。北朝鮮での取材映像の合間合間に脱北者や学者、ジャーナリストによる北朝鮮の実情を語るインタビューが挿入されるので、私は混乱してしまいました。どっちが正しいんだ?北朝鮮の教育によって彼らは洗脳されているということはわかるけど、ここまで徹底していると真実がどちらにあるのかがわからなくなってくるような感覚。北朝鮮の現実は我々の現実から乖離しすぎていて、うまく咀嚼できません。

監督は「北朝鮮に関する報道が本当に事実なのか」を確かめるために北朝鮮入りしています。彼が伝えたいことの本質は「メディアの信ぴょう性」でしょう。メディアを駆け巡る北朝鮮のバカバカしいニュースははたして本当なのか嘘なのか?ギャグとしか思えないような内容でも、「北朝鮮ならありえるな」と思えてしまう不思議な国。

外国の報道は間違っている、北朝鮮に来て実情を見てほしいと語る政府側の人間たちが滑稽に見える瞬間もありますが、なぜかジャーナリストたちが滑稽に見える瞬間もあるのです。どこまでが真実でどこまでが嘘なのか、この映画を見てもさっぱりわからない。北朝鮮の謎がほんの少しわかったけど、その分謎がもっと増えました。

北朝鮮は未知の国です。そこが魅力でもあります。世界の謎はあらかた解明されました。しかし北朝鮮は謎だらけです」