カニ歩き映画ブログ

谷越カニが見た映画について書いてます

D・W・グリフィス『淋しい別荘 The Lonely Villa』1909年

グリフィスが新たな映画表現を模索した結果の産物。グリフィスが映画界に残した最大の功績であるクロスカッティングが登場する。

物語は主人の留守中に屋敷に強盗が入るという単純なもの。残された母子と主人の電話のやりとりと3人組の強盗の姿を交互に映すことで場面を盛り上げている。

冒頭に『國民の創生』の黒人襲撃シーンに似た構図のショットがあり、相変わらず『帰還』の物語であるという点がグリフィスの作家性を表しているといえるだろう。帰還の物語×クロスカッティング=「ワン・ミニッツ・レスキュー」の初お目見え作でもあるのだ。本作は後にセルフリメイクされるし、彼の原点の1つ数えていい映画だと思う。


D. W. Griffith: The Lonely Villa (1909)