カニ歩き映画ブログ

谷越カニが見た映画について書いてます

D・W・グリフィス『黄金のルイ The Golden Louis』1909年

リリアン・ギッシュとの黄金コンビが生み出した悲劇の数々の原型とも言えるような映画。

 

冬の街角。乞食の少女は寒さと飢えでついに力尽き、死を目前にしていた。そこへ通りかかった男が彼女を憐れみ、彼女の靴に金貨を残していった。

相変わらず力なく横たわる少女の前を通りかかったのは、ギャンブルで負けて景気の悪い男。靴の中に光る金貨を見て手を伸ばすが、少女を憐れみ、手を付けなかった。

賭博場へ戻った男はなけなしの金で大勝し、喜び勇んで少女の元へ戻るが彼女の姿はなかった。街中を探しまわり、ようやく彼女を見つけた時、彼女は既に息絶えていた。男は嘆き悲しみ、持ち金を四方へばらまく。庶民たちが小金を拾い、満足そうに立ち去った後も男の悲しみは癒えることはなかったのだった。

 

『質屋の娘の恋』と同じような話だが、少女の年齢が小学校に入学するかどうかというくらいに設定されているのがキモ。リリアン・ギッシュのロリータ的な魅力と合致している。本作と同年に制作したコメディ映画のダメっぷりを見て、グリフィスは悲劇監督へのシフトチェンジを目指したのではないか。彼の華々しいキャリアの原点はおそらく本作だ。それは同時に大女優リリアン・ギッシュの原点でもある。グリフィス/ギッシュのファンは必見の映画だ。


The Golden Louis (1909) D.W. Griffith