カニ歩き映画ブログ

谷越カニが見た映画について書いてます

D・W・グリフィス『迷惑帽子 Those Awful Hats』1909年

1919年、グリフィスはチャップリンやダグラス・フェアバンクスらとユナイテッド・アーティスツ社を設立したが、その10年前、チャップリンが登場するよりも前にチャップリンの出来損ないみたいなコメディ映画を作っていた。

 

映画館で映画を観る紳士たち。上映されている映画のジャンルはいまいちよくわからない。次々に馬鹿でかい帽子をかぶった婦人がやってきては前方の席に座り、校報に座っている紳士は帽子が邪魔でスクリーンが見えない。婦人が大顰蹙を買うと頭上からどクレーンゲームのアームのようなものが出てきて帽子を掴んで脱がし、紳士たちは喝采を送る。それでもなお帽子を脱がない別の婦人がクレーンに体ごと掴まれて強制退場。紳士たちは映画そっちのけで歓声をあげたのだった。

序盤に後の物語とは全く無関係な男も劇場にやってきて、観客に話しかけたりよろめいて膝の上に座ったり、キーストン社時代のチャップリンを彷彿とさせるギャグを連発するのだが、これがいまいち面白くない。その後の婦人の帽子をめぐるてんやわんやもなんとも言えない感じで、クレーンが帽子を掴んで無理やり脱がすのはちょっとモンティ・パイソンっぽいかな、とは思う。

たった2分の映画だし、どういう経緯で作られたのか手元に資料がないので分からないが、よっぽどグリフィスが好きな人でもなければ見る必要はない。劇場を舞台にしたコメディなら『チャップリンの寄席見物』のほうが遥かに面白いから、こちらをおすすめする。


Those Awful Hats 1909